社会保険労務士法人アミック人事サポート｜栃木県宇都宮市で人事労務に特化した社労士

はじめに

近年、ハラスメント問題は企業の信用や職場環境に大きな影響を与えるリスクとなっています。特に、管理職や指導職が適切な知識を持たないまま部下指導を行うと、知らず知らずのうちにハラスメントが発生してしまう 可能性があります。

今回の事例では、従業員300名規模のサービス業の企業が管理職・指導職向けのハラスメント研修を実施し、職場環境を改善したケースを紹介します。

企業の現状と課題

あるサービス業の企業では、これまでハラスメント教育を一度も実施しておらず、管理職や指導職が適切な指導方法を理解していない状況でした。そのため、職場では以下のような課題が発生していました。

• 指導とハラスメントの境界が曖昧で、管理職自身も「どこまでが適切な指導なのか分からない」と困惑していた。
• 昔ながらの厳しい指導方法が残っている管理職もおり、無意識のうちにパワーハラスメントにつながるケースがあった。
• 会社全体でハラスメント防止の意識が浸透していなかった。

このままでは、職場の雰囲気の悪化や、最悪の場合は訴訟リスクにもつながるため、企業は社労士に相談し、研修の実施を決定しました。

社労士からの提案内容

社労士事務所では、以下のような対応策を提案しました。  

1. 管理職・指導職の意識改革からスタート

会社全体でハラスメント教育を行うことが理想的ですが、まずは管理職や指導職の意識改革を優先しました。彼らが正しい知識を持つことで、職場全体に適切な指導文化が広がることを目的としました。

2. チェックリストを活用した自己診断

研修では、自身の言動にハラスメントのリスクがないかを確認できるチェックリストを活用。これにより、日頃の言動の中で注意すべきポイントを具体的に理解できるようにしました。

3. 立場別のハラスメント研修の実施

以下のように、管理職・指導職の役割に応じた研修を実施しました。

• 管理職向け：指導とハラスメントの違い、適切な注意・指導の仕方、職場環境改善の役割。
• 指導職向け：現場での指導の適切な範囲、コミュニケーションの取り方、部下との関わり方。
• 一般職向け（今後の展開）：ハラスメントを受けた際の対応策、相談窓口の利用方法。

解決後の結果

研修を実施したことで、管理職・指導職の意識改革が進み、職場環境の改善につながりました。具体的な成果として、以下のような変化が見られました。

• チェックリストを活用することで、自分の言動に問題がないかを客観的に確認できた。
• 「昔ながらの考え」が残っていた管理職も、今の時代に求められる指導方法を理解し、意識を改善できた。
• 研修を受けた管理職からは、「どこまでが指導で、どこからがハラスメントになるのかが分かるようになった」という声が上がった。

これにより、企業全体のコンプライアンス意識が向上し、適切な指導が行われる職場環境の構築が進みました。

本件のポイント

今回の事例で特に重要だった点は以下の通りです。  

1. ハラスメント教育の基礎をしっかり伝える

管理職・指導職の中には、これまでハラスメント教育を受けたことがない人も多いため、まずは基礎的な内容をしっかり伝え、理解を深めてもらうことが重要でした。

2. コンプライアンスの時代において、ハラスメント研修は企業を守るために不可欠

ハラスメント問題は、企業の信用や職場環境に大きな影響を与えるため、定期的な研修を行い、予防策を講じることが必要です。

まとめ

ハラスメント研修は、企業のコンプライアンス意識を高め、職場環境を改善するために非常に重要です。今回の事例では、管理職・指導職向けの研修を実施することで、意識改革を促し、適切な指導方法を学ぶ機会を提供しました。

ハラスメント問題は、企業の存続にも影響を与えるリスクがあるため、定期的な研修を行い、社内全体でハラスメント防止の意識を高めることが求められます。今後は、一般職向けの研修も導入し、さらに安心して働ける環境を整えていく予定です。