「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
事務員の過剰な介入に対する適切な対応事例:労働契約の基本を守りつつ円満解決
現状と労務の課題
ある診療所(従業員数3名)では、開業時に採用した看護師2名のうち1名が、著しく能力が低いことが問題となりました。試用期間中のため、正社員への本採用を見送る可能性が出ていましたが、看護師本人とはパート契約で合意済みであり、6か月後に再評価する予定でした。
ところが、看護師本人がこの状況に特に異議を唱えたわけでもない中、事務員が突然、A4サイズ1枚にびっしりと抗議文を書き、「正社員にしてあげてほしい」「給与を上げるべき」「退職金制度を適用すべき」という要求をしてきました。この介入が診療所全体にとって大きな問題となり、どのように対応すべきか分からず、当事務所にご相談いただきました。
当事務所からのご提案内容
次のような対応策を提案しました:
1. 労働契約は本人と事業主の間の契約であり、第三者が干渉するべきではないという基本原則を面談で事務員に説明すること。本人が頼んでいないことまで首を突っ込むのは不適切であると伝えるよう指導しました。
2. 面談の進め方について、事務員が攻撃的になる可能性があるため、慎重な対応を取るようアドバイスしました。社労士からは、事務員が自分自身の労働条件についても不満があるかもしれないため、その点も確認し、冷静に話し合うように助言。また、面談は複数名で行い、慎重に対応することを推奨しました。
解決後の結果
面談を通じて、事務員に対し丁寧に労働契約の原則や、第三者が介入するべきではないという点を伝えました。また、他の職員の労働条件に干渉することは適切ではないと説明しました。この対応によって、事務員はそれ以上職場の方針に口出しすることがなくなりました。
また、能力が低い看護師については、自らの働きぶりを見直し、迷惑をかけたと感じたため、自己都合退職という形で退職が決まりました。
本件のポイント
今回の事例で特に重要だった点は以下の通りです:
慌てずに社労士に相談したこと:問題発生時にすぐに社労士に相談し、専門的な助言を得たことが冷静な対応に繋がりました。
迅速な対応:社労士からのレスポンスが早く、診療所側も落ち着いて対応することができました。
理論的な説明:労働契約の基本に基づいて事務員と話し合い、理論的に説明できたことで問題が解決に向かいました。
労働契約法の理解:社労士のアドバイスを通じて、労働契約法に基づいた正しい対応ができたことが大きな成果でした。
まとめ
今回の事例は、従業員間での労働契約に関する誤解や、他の従業員からの過剰な介入にどう対処すべきかという点で、社労士の助言が非常に効果的だったケースです。労働契約は当事者間のものであり、第三者の干渉が不適切であることを丁寧に説明することで、問題を無理なく解決することができました。また、社労士のアドバイスにより、落ち着いて冷静に対応できた点も成功の要因です。労務トラブルの際には、専門家の助言を受けることが重要です。