「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
育休復帰の連絡がない従業員への対応事例:希望を確認し、スムーズな復帰をサポート
飲食業の現状と労務課題
従業員30名を抱えるある飲食業の事業所では、育児休業中の従業員から復帰時期や勤務形態についての連絡が全くない状況が続いていました。復帰時期が不明確なことや、復帰後の時短勤務の希望などがわからないため、事業所側は対応に困り、社労士に相談しました。
社労士事務所からの提案内容
社労士事務所からは、以下の対応策を提案しました:
1. 面談の実施と復帰に関する確認:まずは従業員に対して、「復帰時期についての希望を確認したい」という趣旨で面談を行うことを提案。また、復帰後の勤務希望についても話し合い、必要に応じて、保育園に入れなかった場合の育休延長手続きや給付金に関する説明を行うことを進めました。
2. 育児介護休業規程の確認と説明:事業所は育児介護休業規程を整備していたため、これに基づいて、育休の延長や復帰の手続き、短時間勤務の申し出方法について事前に確認し、従業員へ適切に説明するようアドバイスしました。
3. 申し出の具体化の指導:面談で従業員が「いつまで時短勤務を続けるかは分からない」と答えた場合には、「分からない」では正式な申し出としては受け付けられないため、一旦希望の期間を具体的に決めてもらう必要があると伝えるよう指示しました。年度ごと(3月末まで)で申請し、更新するパターンが多いことも説明しました。
解決後の結果
社労士のアドバイスをもとに、事業所の人事担当者は従業員に対して面談を実施しました。その際、従業員からは短時間勤務を希望する旨が伝えられましたが、期間については「いつまでになるか分からない」という回答がありました。 この点について社労士の指導通り、一旦具体的な期間を設定してもらう必要があることを伝え、申請手続きを進めるよう促しました。最終的に、従業員から年度ごとに申請を行い、更新する形で進めることが決まりました。これにより、事業所側は適切な対応を行いながら従業員の復帰をサポートすることができました。
本件のポイント
今回の事例で特に重要だった点は以下の通りです:
– 社労士への相談による冷静な対応:従業員からの連絡がない場合でも、社労士に相談することで、適切な対応策を見つけることができました。
– 育児介護休業規程に基づく対応:規程が整備されていたことで、従業員に対して復帰や延長の手続き方法を明確に説明でき、スムーズに進めることができました。
– 申し出の具体化の重要性:「分からない」という曖昧な回答では正式な申し出として扱えないため、具体的な期間の設定を求めることで、労務管理の正確さを確保しました。
まとめ
育児休業中の従業員からの連絡がない場合、事業所は対応に困ることが多いですが、社労士の助言を活用し、適切な手順で対応することが重要です。今回の事例では、育児介護休業規程に基づいた対応や、具体的な申し出を求める指導により、従業員の復帰をスムーズに進めることができました。今後も、育休者の復帰サポートにおいては、ルールに基づいた適切な対応を心がけることが重要です。