「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
社内不倫の噂への対応:職場の秩序を守るための適切なアプローチの事例
現状の課題
従業員30名のある診療所では、社内不倫の噂がある従業員について、周りの職員から「仕事がやりにくい」という声が上がっていました。しかし、プライベートな問題にどのように対処すべきか分からず、当事務所にご相談いただきました。
当事務所からのご提案内容
当事務所からは以下の点をアドバイスしました。
1. プライベートの問題には言及しない
:不倫自体は個人のプライベートな問題であり、組織の秩序を乱したり、業務に支障をきたさない限り、企業側が直接言及することは難しいと説明しました。また、懲戒処分の発令も同様に制限されるため、慎重な対応が必要だと伝えました。
2. 業務や秩序の確認
:ただし、もし職場で組織の秩序が乱れたり、業務に明確な支障が出るようであれば、その部分については対処が可能です。そのため、まずは職場で実際に業務上の問題や秩序の乱れが生じていないかを確認するよう指示しました。
解決後の結果
その後の確認作業では、「不倫相手にだけ優しくする」「特定の相手にだけ仕事を振る」といった職員間の憶測がありましたが、これらは事実確認が取れず、あくまで噂の域を出ませんでした。したがって、診療所はこのことでの懲戒処分を行うことはできないと判断し、職員に対して次の点を連絡しました。
噂の自粛:根拠のない噂で職場の秩序を乱さないように注意喚起を行いました。職場は仕事をする場であり、噂を広める場所ではないという意識を共有しました。
就業規則の確認:就業規則には、業務中の私的行為の禁止や、職場の秩序を乱す行為の禁止が盛り込まれていることを改めて確認し、必要に応じて就業規則に従い、適切な対応を取る姿勢を示しました。
この対応を徹底した結果、噂はしばらくすると収まり、診療所は業務に支障なく運営できていることが確認されました。
本件のポイント
今回の事例で特に重要だった点は以下の通りです:
就業規則の整備:前もって就業規則に「業務中の私的行為の禁止」や「職場の秩序を乱す行為の禁止」などの必要事項が記載されていたことが、職場の秩序を守るための適切な対応につながりました。
噂への対応:職場は噂を流す場ではなく、仕事をする場であるという意識を周知したことで、従業員の無用な混乱を防ぎ、職場環境の安定化に寄与しました。
プライベートと職務の区別:不倫自体は個人のプライベートな問題であり、業務や職場秩序に明確な影響がない限り、組織としては言及せずに慎重に対処する姿勢を貫いたことが、事態の収束に繋がりました。
まとめ
社内不倫の噂が広がると職場環境に影響を与える可能性がありますが、今回の診療所の事例では、就業規則の整備と噂の自粛に関する適切な対応により、業務への支障を防ぎました。社労士の助言により、事態を冷静に対処し、職場の秩序を維持できたことが大きな成果です。職場では、仕事をする場であるという意識を徹底し、従業員が安心して働ける環境を作ることが重要です。