「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
労働基準監督署の調査対応で見直された労務管理:診療所の事例
診療所の現状と労務の課題
ある診療所(従業員数10人)では、労働基準監督署からの調査が入ることになりましたが、どのように対応すべきか具体的な方法がわからず悩んでいました。これを機に、労務管理全般を確認する必要があると考え、当事務所にご相談をいただきました。
当事務所からのご提案内容
以下の対応策を提案しました:
1. 労働基準監督署から案内された書類の準備:監査に必要な書類を揃え、労働基準監督署が指摘しそうなポイントを事前に確認する。
2. 調査前の打ち合わせ:一度打ち合わせを行い、想定される指摘事項を事前に把握しておくことで、調査当日に備える。
打ち合わせでは、調査で指摘される可能性のあるポイントを把握し、冷静に準備を進めることができました。
解決後の結果
監査に向けて準備を進めた結果、以下の指摘を受けました。
年次有給休暇の消化不足:一部の従業員が5日間の年次有給休暇を取得していないこと。
年次有給休暇管理簿の未整備:有給休暇の取得状況が管理されていないこと。
健康診断の事後措置の未実施:健康診断は実施していたものの、結果に基づく事後措置が行われていなかったこと。
これらの指摘を受け、以下の対応を進めました。
年次有給休暇の取得促進:従業員に対して計画的に休暇を取得するように働きかけ、休暇取得への意識を高めました。これにより、採用時にも「年次有給休暇が取りやすい職場」という好印象を伝えることができるようになりました。
健康診断の事後措置の実施:当事務所からのご提案により、健康福祉センターを活用して無料で事後措置を行い、適切なフォローアップを実施しました。
本件のポイント
今回の事例で特に重要だった点は以下の通りです:
法令順守の意識の向上:従業員の意見に左右されていた労務管理を見直し、法令順守が重要であることが再確認されました。
事前準備の重要性:労働基準監督署の調査に備え、事前に社労士との打ち合わせを行い、指摘される可能性のある事項を確認しておいたことで、調査に落ち着いて対応できました。
従業員の意識改善:有給休暇の取得促進が従業員の労働に対する意識改革につながり、働きやすい職場環境の形成にも寄与しました。
まとめ
今回の労働基準監督署の調査を通じて、診療所は労務管理の見直しと事前準備の重要性を再認識しました。社労士との打ち合わせによる想定される指摘事項の把握と、冷静に調査に備える対応が、従業員の意識改善や職場環境の向上にも繋がった事例です。法令を遵守し、労務管理を適切に行うことが、安心して働ける職場作りに重要な役割を果たします。