「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
IT企業におけるハラスメント対応の事例:セクハラ問題とその解決策
現状と労務の課題
あるIT企業(従業員数10名)において、忘年会の3次会で男性役員が女性従業員から「体を触られた」とセクハラの訴えを受けました。会社はどのように対応すべきか困っており、迅速かつ適切な対処が求められる状況でした。
当事務所からのご提案内容
当事務所では、ハラスメント問題の初動として、以下の対応を提案しました。
1. 相談者へのヒアリング:女性従業員から具体的な状況や詳細を聞き取り、事実関係を確認。
2. 行為者へのヒアリング:男性役員に対し、訴えの内容についての確認。
3. 第三者へのヒアリング:同席していた他の従業員など、第三者の証言をもとに事実確認を行う。
事実確認を慎重に行ったうえで、会社としての対応を進めるべきだと提案しました。早期に相談いただいたことで、適切な手順で迅速に対応ができ、事態が悪化する前に解決の糸口を見つけることができました。
解決後の結果
提案をもとに対応した結果、男性役員が実際に体を触ったことが事実であったため、従業員との示談を行い問題は解決しました。しかし、この問題は「触った事実がある以上、解決は難しい」という現実を突きつける結果となりました。
また、この出来事を受け、経営陣全体に緊張感が広がり、「自分は大丈夫」という意識の低さが大きな問題であることが浮き彫りになりました。
本件のポイント
今回の事例で重要だった点は以下の通りです:
ハラスメントに対する無防備な考え
「自分はしない」「うちの会社では起こらない」という甘い認識が問題を引き起こしました。
トップの方針の欠如
ハラスメントに対する強い意思表示が不足していたことが、従業員の無意識な行動につながった。
定期的な研修の必要性
ハラスメント研修が「一度行えば良い」という認識があり、定期的な教育が行われていなかった。
相談窓口の設置
ハラスメントを未然に防ぐためには、信頼できる相談窓口の整備が重要です。
再発防止策の徹底
問題が発生した際、再発防止策を講じ、組織全体で改善に向けた取り組みが必要です。
早期の社労士相談の重要性
社労士への早期相談が、問題の拡大を防ぎ、迅速かつ適切な対応を可能にしました。専門的なアドバイスにより、経営者が冷静に対応できるようになった点も大きな成果です。
まとめ
今回のハラスメント対応は、労務管理における基本的な認識の甘さが問題を引き起こした典型的な事例です。社労士への早期相談により、問題の深刻化を未然に防ぐことができました。ハラスメント問題に対処するためには、会社としての強い方針を打ち出し、定期的な研修や相談窓口の設置、そして再発防止策を徹底することが不可欠です。安心で安全な職場を形成するためには、組織全体が意識を高め、継続的な取り組みを行うことが必要です。
当事務所では、ハラスメントが発生した場合のご相談や、未然に発生を防ぐための予防研修等トータルでサポートが可能です。