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【クリニック・医院開業支援】開業時に必要な手続きとスタッフ採用について社労士が解説!

2023.01.31 コラム
医師らの写真

栃木県を中心に企業の労務管理を支える、社会保険労務士法人アミック人事サポートです。

今回はクリニックの開業を検討している先生方に向けて、開業の際に必要な手続きと、スタッフ採用の流れについて解説します。

クリニック開業時には申請や届出の種類が多いため、大変だと感じるかもしれません。本記事では手続きの流れを順番に解説しますので、参考にしてください。申請時には抜けや漏れがないように、一つひとつ確認しながら行いましょう。

<医院開業・クリニック開業>開業するには何が必要?開業のスケジュールと準備について解説 前編はこちら

クリニック開業時に必要な申請・手続き

医師の写真

クリニックの開業前には、さまざまな行政機関で「許可・認可申請」の手続きを行わなくてはなりません。手続き事項が多いため、どの機関で何の申請を行うのか混乱してしまう場合もあるでしょう。以下に申請する場所と事項を順番に解説しますので、参考にしてください。

具体的な申請スケジュールの流れは、以下の通りです。

クリニックの開業前の申請スケジュール

クリニック開業時に必要な書類・届出一覧

申請書類の種類と提出場所、期限を以下にまとめました。すべてを提出する必要はありませんが、ご自身のクリニックで必要な届出は必ず行ってください。

クリニック開業時に必要な書類・届出一覧

それぞれの機関ごとに、詳しく解説します。

保健所

クリニック開業時において、保健所に申請する事項は多岐にわたります。期限を確認しながら着実にこなしましょう。

事前相談

保健所には、早い段階で事前相談をする必要があります。不動産契約を結ぶ前に「この建物でクリニックを開業できるか」の相談をしましょう。水回りの不適合がないか、クリニックとして使用できる建物であるか、などを確認するためです。

また開業8~9か月前に内装の図面が完成したタイミングで、設計事務所や開業コンサルタントが行う事前相談もあります。先生ご自身は同行しなくとも大丈夫ですが、進捗を確認しておくと安心です。

この段階で保健所の担当者に内装図面を見てもらい、このまま工事を進めてよいかを確認します。相談をしないまま工事を進めた場合、開業前の保健所立入検査で修正工事の指導を受けることがあります。そのため、確認は受けておいたほうがよいでしょう。

診療所開設届出書

内装工事が終わった段階で、管轄の保健所に「診療所開設届出書」を提出しましょう。診療所開設届出書の提出目安は、開院の2〜3ヶ月前になります。添付書類も必要なため、事前に管轄の保健所に確認しておきましょう。

診療所開設届の提出後に、保健所の立入調査があります。立入検査では、構造設備や院内掲示、消火器の設置などをチェックします。

立入調査を経て保健所に開設届出書が受理されたら、厚生局での手続きに進みます。

厚生局

保健所で開設届出書が受理されたら、次は厚生局で「保険医療機関指定申請」を行います。保険診療(保険請求)を行う手続きのため、必ず申請しましょう。

保険医療機関指定申請の締切日は都道府県によって違いますが、基本的に毎月1回のみです。たとえば栃木事務所の場合は、令和4年度は各月15~18日に申請締切日があり、翌月1日が指定日となります。

申請締切日に提出できなかった場合は、保険診療開始が1か月後ろ倒しになってしまうため、開業に間に合うように申請してください。

保険医療機関指定申請時の添付書類は、管轄の厚生局によって異なる場合があるので、必ず事前に確認しておきましょう。

保健医療機関申請書が厚生局にて受理されると、医療機関コードが発行されます。後日、医療機関指定通知書が届きますので、レセコンや電子カルテに発行されたコード番号を入力してください。

消防署

消防署にも、内装図面が確定した段階での事前相談が必要です。ただし、こちらも保健所と同様、コンサルタントや設計事務所が相談を行います。内装や火災報知機の設置について、消防署に届出を行ってから工事開始となります。

内装工事完了後には消防検査があり、消防法に則って消火、警報、避難などの設備が設置されているかを確認されます。

またクリニックの開業にあたり、建物の防火管理者を選任しなくてはなりません。クリニックの場合は、院長や管理的地位にある方が防火管理者になるパターンが多いです。

防火管理者になるには、地域の消防本部または、一般財団法人  日本防火・防災協会が行う防火管理講習を受ける必要があります。

2日間の講習会に参加したのち確認テストに合格すると、防火管理者の資格が取得できます。講習日程を確認するために、まずは地域の消防本部に問い合わせてみましょう。

その他

クリニック開業の際には保健所、厚生局、消防署のほかにも、以下の場所への届出や申請が必要です。

福祉事務所

「生活保護法等による医療機関指定申請書」を所轄の福祉事務所に提出しましょう。

絶対に必要な届出ではありませんが、生活保護法による医療機関の指定を受けるには提出しなくてはなりません。必須ではありませんが、多くのクリニックが提出しています。

税務署 

税務署に提出する書類については、状況に応じて変わるため、必要なものをあらかじめ税務署や税理士に確認しておきましょう。

開業届は、事業開始後1か月以内に提出しましょう。

労働基準監督署
  • 労働保険 保険関係成立届(公共職業安定所への提出も可)
  • 労働保険 概算保険料申告書
  • 適用事業報告
公共職業安定所(ハローワーク)
  • 労働保険 保険関係成立届(労働基準監督署への提出も可)
  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届
社会保険事務所・医師国保組合
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 被保険者資格取得届

社会保険労務士法人アミック人事サポートでは、労働保険や社会保険の手続き代行を行います。クリニック開業時の行政機関への手続きなどでお困りの際は、どうぞご相談ください。

医師会

医師会に入る予定があれば、開業場所が決まった時点で近くのクリニックもしくは、地区医師会所属の先生に一度ご挨拶に行くとよいでしょう。

紹介者の先生に相談しながら、着工前には医師会事務局への挨拶も済ませておくとよいかもしれません。

実際の入会は保健所に開設届出書を提出したあとになりますが、事前に事務局に問い合わせておきましょう。医師賠償責任保険の免責部分についても、確認が必要です。

 

クリニック開業 採用編

女性の写真

患者さんを多く抱えるクリニックを運営するには、スタッフの採用が重要なカギを握ります。患者さんへの対応がよいスタッフがいると、クリニックの好感度がアップするためです。

ここからは、クリニック開業時のスタッフ採用について解説します。

クリニック開業 スタッフ採用スケジュール

クリニック開業時におけるスタッフ採用のスケジュールは、以下の流れになります。

クリニック開業 スタッフ採用スケジュール

募集要項

スタッフ採用を行う前には、事業計画をもとに看護師や医療事務、技師などのスタッフを何名募集するかを決めます。クリニックの理念に共感してくれるスタッフを、適切な人数と配置で採用するのがポイントです。

昨今は慢性的に看護師不足の傾向にあるため、充分なスタッフ数を確保するには早めに募集を開始しましょう。看護師を選ぶ際には、ベテランで経験豊富な方が少なくとも1人はいると安心です。

またスムーズな事務対応を行うために、診療報酬に詳しい医療事務経験者を1~2名雇用するとよいでしょう。スタッフの賃金は、近隣の医療機関の水準に合わせて決定します。

開院1か月前にはスタッフ研修を始めるため、募集は3~4か月前から開始しましょう。人材募集サイトや新聞折り込み、求人誌などに募集要項を出します。

通常、ハローワークで募集をかけるには「雇用保険適用事業所設置届」を出して事業所番号を発行してもらう必要があります。ただし従業員を雇用してからでないと、事業所番号は発行されません。

開業したばかりで、雇用保険適用事業所設置届を出していない場合は仮の事業所番号が記載されます。従業員の雇用後に申請して、正式に事業所番号を発行してもらいましょう。

開業前は先生が多忙であるため、コンサルタントがスタッフ募集事務局として対応してくれる場合もあります。ただし面接自体は先生が実施して、ご自身の目でスタッフを選んだほうがよいでしょう。

保険手続き

スタッフの雇用後にも、さまざまな手続きを行わなくてはなりません。はじめに、スタッフの雇用(労働)契約書や入職書類の作成を行います。さらに労働保険や社会保険の加入手続きも必要です。

同時に就業規則や院内ルールの策定、36(サブロク)協定の届出なども行います。先生ご自身でこれらの手続きを行うのは非常に大変なため、労務のプロである社労士にまかせると安心です。

 

社会保険労務士法人アミック人事サポートでは、労働保険・社会保険の届出や手続き、就業規則の策定も承ります。開業に向けた人事労務の整備でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

スタッフ研修

開院1か月前には、スタッフ研修を開始します。医療機器や電子カルテの使い方をマスターし、開院当初からスムーズな運営を目指すためです。医療機器や電子カルテメーカーの担当者から使い方のレクチャーを受けて、完璧に使いこなせるようにしましょう。

患者さんへの対応の質を担保するために、接遇研修も併せて行うことをおすすめします。好感度の高い対応を行うことで、集患率アップが期待できるためです。

 

社会保険労務士法人アミック人事サポートでは、スタッフ向けの接遇研修やオリエンテーションの開催も承ります。質の高い接遇テクニックを社労士がレクチャーしますので、お気軽にご相談ください。

研修と並行して、スタッフ用のユニフォームも決定しましょう。スタッフと相談しながら選択してもよいかもしれません。

スタッフ採用 よくあるトラブル

クリニックにおけるスタッフ採用では、思わぬトラブルが発生する場合があります。クリニックでのスタッフ採用にまつわるトラブルの種類と、その解決方法を解説します。

Q.協調性や能力が低いスタッフを解雇できる?

A.「採用スタッフに問題があるため解雇したい」そんな悩みを抱える先生は少なくないようです。問題となるスタッフの特徴としては、以下のようなものがあります。

 

  • 協調性が低くコミュニケーションが取りづらい
  • 技術や能力が低くミスが多い
  • 横領など重大な問題行為がある

 

上記のようなスタッフに対して、安易に解雇を言い渡すとトラブルになる場合があります。問題のあるスタッフに対しては適切な指導を行いながら、慎重に行動しましょう。まずは、社労士に相談するのがおすすめです。

また、大きなトラブルに発展しないように、事前に就業規則の解雇規定を確認しておく必要があります。どういった場合にどのような対応ができるのかを、雇用契約書と就業規則にきちんと掲載しておいてください。

従業員が1人でもいるならば就業規則を作り、社労士などの専門家に確認してもらいましょう。就業規則がない場合は、社労士に策定してもらうことも可能です。

Q.採用時に給与や賞与はどのように決める?

A.クリニックの開業時には、スタッフの給与や賞与を決める必要があります。どのように決めるべきなのか、疑問に感じている先生もいらっしゃるのではないでしょうか?

給与を決める際には、地域の相場を参考にしましょう。事業計画の策定時に、税理士に相談するとよいかもしれません。賞与や退職金の有無についても、就業規則に載せておく必要があります。

開業される先生は、今後はクリニックを運営する経営者としてスタッフと向き合うことになります。雇用する立場になると、対人トラブルに巻き込まれる可能性が少なからずあるかもしれません。いざ採用してみたら、面接時に聞いていた話を違うということもお聞きします。

 

クリニック開業のよくあるご質問

Q1 クリニックで従業員を採用する時に注意すべきことはありますか?

開業時は有資格者や医療事務経験者を採用することがおすすめです。

未経験者を採用しても、十分な教育ができない場合があります。

また、労務トラブルを防ぐためにも就業規則を整備することも求められます。

 

Q2 クリニック開業に社労士は必要ですか?

社労士とご契約していただくことがおすすめです。

日々の労務相談はもちろん、就業規則の整備から、人手がかかる事務部門の代行までサポートいたします。

当法人のサポートについてはこちらをご覧ください。

 

Q3 まだ開業前ですが相談することはできますか?


可能です。準備の段階から開業に向けて、必要な手続き・準備するものなどをアドバイスを行います。ぜひご相談ください!
お問い合わせはこちらです。

 

労務トラブルでお困りの際には、悩まずに社労士などの専門家にご相談いただくと安心です。

雇用契約書の作成や就業規則の策定についても、社会保険労務士法人アミック人事サポートにご相談ください。労務相談や助成金の申請代行も承っております。

 

クリニック開業まとめ

医師らの写真

今回はクリニック開業時に必要な行政機関への申請と、スタッフ採用の流れについて解説しました。クリニックを開業する際は、準備することが多くて大変だと感じるかもしれません。

本記事で解説しました申請手続きの方法やスタッフの採用について少しでも難しいと感じられた場合は専門家へ相談することをおすすめいたします。社会保険労務士法人アミック人事サポートでは、クリニックの開業に強い専門家が先生方をバックアップいたします。

 

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