「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
社労士が解説! 新型コロナウィルスワクチン接種における労務管理について
新型コロナウィルスワクチン接種の追加接種が始まっています
新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)いわゆるブースター接種が、令和3年12月1日から開始されています。
接種の対象は以下の通りとなります。
- ▷2回目接種を完了した日から、一定の期間が経過した方(※1)
- ▷18歳以上の方
- ▷日本国内での初回接種(1回目・2回目接種)又は初回接種に相当する接種(※2)が完了している方
副反応は?
新型コロナウイルス感染は是非とも回避したいものの、追加接種での副反応もとても気になるところです。
厚生労働省では、新型コロナワクチンQ&Aにて、副反応について説明をしています。
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Q:追加(3回目)接種ではどのような副反応がありますか。2回目より重いのでしょうか。
A:海外の臨床試験の結果では、ファイザー社のワクチン及び武田/モデルナ社のワクチンいずれの場合も、2回目の接種後と比較して有害事象の発現傾向は概ね同様であると確認されていますが、リンパ節の腫れなどについては、初回(1回目・2回目)接種時と比較して、発現割合が高い傾向にありました。
国内の調査結果(中間報告)でも、ファイザー社のワクチンにおける、追加接種から1週間後までの有害事象の状況は、2回目の接種後とほぼ類似していましたが、腋窩痛(わきの下の痛み)などについては、3回目の接種後の方が、発現頻度が高い傾向が見られました。
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厚生労働省HP:新型コロナワクチンについて
詳細の説明や参考資料が提示されているので、気になる方は以下をご参照ください。
追加(3回目)接種ではどのような副反応がありますか。2回目より重いのでしょうか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
追加接種を義務付けることは出来るのか?
ワクチン接種は強要することは出来ず、最終的には従業員個人の判断で行うものとなります。
とは言え出来得る限り感染のリスクを減らしたいため、会社としてはワクチン接種を推奨したいところでしょう。従業員が拒否しているのにも関わらず何度も執拗に推奨することは望ましいことではないので、十分に注意をしたいところです。
また会社はワクチン接種を義務化することな出来ないので、接種を拒否した従業員に対して解雇を始め懲戒・配置転換等の不利益取扱いを控えたほうがいいでしょう。
ワクチン接種の日(時間)の取り扱いは?
ワクチン接種を労働日に行う場合の取り扱いはどうなるでしょうか?
上記の通りワクチンは従業員の判断に任され任意となりますので、その日(時間)は労働時間とはなりません。
つまり給与に関しては欠勤控除を行うことは可能ですが、従業員から請求されたら年次有給休暇を取得する、または特別休暇を与える等を検討することも良いでしょう。
追加接種の副反応により勤務が出来なかった場合は?
「会社が薦めたのだから」と言って欠勤にはならない!と言ってくる従業員もいます。
何度もご説明しておりますが、従業員個人が任意にワクチンを接種したものである以上通常の病欠と同様な扱いにしても問題はありません。
ただし接種の日同様特別休暇を認めるという方法も考えられますので、十分に検討をした上で取り扱いを明示しておくといいでしょう。
以下に、厚生労働省HPのQ&Aを添付します。
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Q:自社に勤める労働者が新型コロナワクチンの接種を安心して受けられるよう、新型コロナワクチンの接種や接種後に発熱などの症状が出た場合のために、特別の休暇制度を設けたり、既存の病気休暇や失効年休積立制度を活用したりできるようにするほか、勤務時間中の中抜けを認め、その時間分終業時刻を後ろ倒しにすることや、ワクチン接種に要した時間も出勤したものとして取り扱うといった対応を考えています。どういった点に留意が必要でしょうか。
A: 職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
また、①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、②特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます(※)。
こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。
※ 常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。
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厚生労働省HP:新型コロナワクチンについて
新型コロナワクチンと労務管理
こちらのコラムでも、随時ご説明をしております。ご一読いただきご参考になさってください。
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