「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
アルバイトの労働条件を確認しよう!方法から留意すべきポイントまで詳しく解説
栃木県を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人アミック人事サポートです。今回は、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの内容に触れながら、アルバイトの労働条件の確認方法と留意すべきポイントについて解説します。
厚生労働省では、令和5年4月1日から7月31日までの間として、令和5年度「アルバイトの労働条件を確認しよう!」キャンペーンを実施しています。全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める時期として、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的に展開されています。
事業主の皆さまは、対応が十分にできているか今一度確認する必要があります。
今回は労働条件の確認方法から、留意すべきポイントまでを詳しく解説していきます。
目次
雇用主の皆さまへ!アルバイトの労働条件を確認する重要性と確認方法
アルバイトを採用する際に、労働条件を正確に設定することは重要です。適切な労働条件を設定することは、アルバイトの満足度やモチベーションの向上につながり、労働者と雇用者の良い関係の構築にも役立ちます。
それでは、具体的にどのようにアルバイトの労働条件を確認すればよいのでしょうか?
以下に具体的に解説してきます。
アルバイトの労働条件とは?留意すべきポイントを解説
「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの概要には、重点項目として以下の内容が掲載されています。
(引用:令和5年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの概要)
これらを踏まえて、アルバイトの労働条件を確認するためには、以下の点に注目する必要があります。
アルバイトの最低賃金や給与について確認する
アルバイトの給与形態は、時給制で設定されることが多く、金額は最低賃金に基づいて決定されていることが多いです。最低賃金は都道府県ごとに異なりますので、該当する地域の最低賃金を確認しましょう。2022年度の地域別最低賃金は以下の通りです。
(引用:ひと目でわかる!最低賃金)
また、アルバイトの給与支払い方法や、給与支給日についても、契約時の内容から変わっていないか改めて確認しましょう。手当を改善したり、賞与の支給対象にすることでアルバイトのモチベーションアップにもつながるため、現状確認とともに検討してみる価値もあります。
労働時間やシフト制度に関する留意点
アルバイトの労働時間やシフト制度は、業務の適正な遂行や労働環境の整備に影響を与えます。労働時間やシフトの希望や変更に関するルールや手続き、また時間外労働の有無や休憩時間についても確認しましょう。シフト制の場合は希望シフトをいつまでに提出してもらうかもルール化しておくと組織運営がしやすくなります。
労働日数や休日制度のポイント
アルバイトの労働日数や休日制度は、労働時間の配分や休暇の取得に関わる重要な要素です。週何日勤務するのか、休日や休暇の取得方法や条件はどのようになっているのかを確認し、労働日数とプライベートのバランスを考えましょう。学生アルバイトの場合は、学生は学業が本分であり、学業とアルバイトが適切な形で両立できる環境を整えるよう配慮する必要があるとされているので気を付けましょう。
(参考:アルバイトの労働条件を確かめよう!キャンペーン中です)
労働契約や雇用形態に関する留意事項
アルバイトの労働契約や雇用形態には、以下のような注意事項があります。
労働契約の内容と注意すべき事項
アルバイトの労働契約は、雇用条件や契約期間、雇用形態など、双方が合意した内容で成立します。「最初の話と違う」というトラブルが起こらないように、労働条件通知書の交付や労働契約書の締結をして労働条件を明示する必要があります。
労働基準法上で求められている内容は以下の通りです。
(引用:パートタイム・有期雇用労働法のあらまし(令和4年5月版)|厚生労働省)
これに加えて、パートタイム・有期雇用労働法上で以下の内容が求められます。
(引用:パートタイム・有期雇用労働法のあらまし(令和4年5月版)|厚生労働省)
アルバイトの雇用形態とそれぞれの特徴
雇用形態には、正社員、パートタイム、アルバイト、派遣など様々な種類があります。それぞれの雇用形態には異なる特徴や労働条件がありますので、自社の雇用形態との適合性を確認しましょう。
一般的な雇用形態の例として、表にまとめました。
アルバイトに商品を強制購入させることの禁止
アルバイトの労働条件に関連して、雇用主が意識しておくべき重要なポイントの一つに、「商品の強制購入の禁止」があります。
この強制購入とは、アルバイトが働く企業の商品を購入することを強制されることを言います。これは禁止行為とされており、一方的に代金を賃金から控除することも認められていません。
労働者は、労働契約において賃金を得るために働いており、商品を購入することは労働報酬の一部とはみなされません。
アルバイトが商品を購入するかどうかは、本人の自由な判断によって決定されるべきです。本来、アルバイトは商品の購入に関する選択権を持ち、商品の購入を強制されることはありません。商品の強制購入は労働者の権利を侵害する行為となりますので、雇用主は注意が必要です。
アルバイトの遅刻や欠勤に対して、予め損害賠償額等を定めることの禁止
アルバイトの労働条件に関連して、雇用主が意識しておくべき重要なポイントの一つに、「アルバイトの遅刻や欠勤に対して予め損害賠償等を定めることの禁止」があります。
労働基準法では、労働者が遅刻や欠勤をした場合に対して予め賠償金の額等を決めることを禁止しています。
アルバイトも人間です。予期せぬ事情や状況によって遅刻や欠勤することがあります。例えば、急な病気や家族の事情、交通機関の遅延など、アルバイトが自らコントロールできないため遅刻や欠勤が生じる場合もあります。
労働条件に関する問題は、対話やコミュニケーションによって解決ができる場合もあります。原因や問題を共有し、協力して解決策を見つけることも求められます。
万が一、常習的に遅刻が繰り返されて、社内の秩序を乱すようなことがあった場合に、就業規則があれば就業規則に基づいて制裁をすることもできます。
ただし、制裁の中の減給を適用させる場合には1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりませんし、減給の総額は月給の場合は月給額の10分の1以下でないといけないと労働基準法第91条に定められています。
トラブル回避のために知っておくべき労働条件関連法律と相談先
労働条件に関連する法律には、以下のような重要な点があります。適切な相談先についても早めに選定しておきましょう。
労働基準法の遵守
労働基準法は、労働者の権利や労働条件の基本的な法律です。雇用主は労働基準法を遵守し、適切な労働条件を提供する責任があります。
労働契約法の遵守
労働契約法は、労働契約の成立や変更、解除規定です。労働契約の作成や早急には、法的な要件や手続きを遵守する必要があります。労働条件の変更及び解雇に関するルールを適切に運用しましょう。
労働組合法の遵守
労働組合法は、労働者が組合を結成し、労働条件や労働環境の改善を取り組むための法律です。必要な場合には協力や対話を行うことが重要です。労働組合との適切な関与は、労働条件の改善やトラブルの予防に役立ちます。
適切な相談先の確保
労働条件に関する問題やトラブルが発生した場合は、適切な相談先に連絡することが重要です。 労働局や労働基準監督署などの労働行政機関は、労働条件に関する相談や苦情の対応に専門知識を持っています。弊社のような労務相談を強みにしている社会保険労務士事務所も、解決に向けた適切なアドバイスをさせていただきます。労働条件に関する問題が生じた際は、適切な相談先へ連絡しましょう。
⇒適切な対応が図れているか、お困りごとがありましたら、社会保険労務士法人アミック人事サポートにご相談ください。
まとめ:アルバイトの労働条件を確認し、適切な労働関係を築こう
アルバイトの労働条件を確認することは、雇用主とアルバイトの両方にとって重要なです。労働条件の改善に取り組むことは、アルバイトの満足度やモチベーションの向上にもつながります。労働法令や規則の遵守、労働契約の適切な管理、トラブル時の適切な対応などが、適切な労働関係の構築にもつながっていきます。
本記事ではアルバイトの労働条件に関する対応について解説しました。
賃金の取り扱いだけでなく、労働時間・労働日・休日といった条件面や、遅刻や欠勤の取扱いなど、制度設計の仕方がポイントになりますし、それらの条件は労働契約書や就業規則にしっかりと明記すべき内容です。
就業規則や定めるべき内容について難しいと感じた場合は、プロにご相談することをおすすめ致します。
社会保険労務士法人アミック人事サポートでは、労働契約書や就業規則に詳しいプロがご相談に応じます。お気軽にご相談ください。
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