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令和5年度の雇用・労働分野の助成金情報!【2023年度最新版】

2023.04.24 コラム
助成金の写真

栃木県を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人アミック人事サポートです。

今回は、令和5年度に申請できる雇用・労働関係の助成金を紹介します。最新の助成金や、よくお問い合わせをいただく助成金を中心に紹介しますので、申請の参考にしてください。

雇用関係助成金とは

雇用関係助成金とは、厚生労働省が扱っている「人材の雇用に関係する助成金」です。

雇用関係助成金は、労働者の雇用を安定させるための助成金であり「人材の雇用に関する条件」を満たすことで支給されます。助成金を受給した事業者は、返済する必要がありません。

雇用関係助成金は、おもに次のような目的で支給されます。

  • 雇用の安定や拡大
  • 職場環境の改善
  • 仕事と家庭の両立支援
  • 従業員の能力向上
  • 障害者雇用

次項では、事業主のための雇用関係助成金の種類について詳しく紹介します。

1.雇用維持関係の助成金

企業の経営が悪化している状況下において、労働者の雇用を維持するために支給される助成金です。休業や教育訓練を行う、従業員を出向させる、などの措置を行った場合に支給されます。

雇用調整助成金の写真

雇用調整助成金

経済状況の悪化にともなって事業を縮小しなくてはならない場合に、従業員の雇用を守るために支給されるのが雇用調整助成金です。

支給にあたり「売上高や生産量などの事業活動を示す指標の、過去3か月の月平均値が前年同時期よりも10%以上減少している」などの条件を満たす必要があります。

支給対象となる雇用調整の種類は、次の通りです。

  • 休業
  • 教育訓練
  • 出向

それぞれについて詳しく解説します。

休業

休業することによって、減少している生産量が短期間で回復すると見込まれた場合に実施される措置です。

従業員が、所定労働日に就労する意思や能力がありながら業務を行えない状態を「休業」と言います。

休業手当の一部が助成される仕組みであり、中小企業の場合は賃金相当額の3分の2、大企業は2分の1が支給されます。

教育訓練

企業が実施する教育訓練も、支給の対象です。職業や業務に関する知識を得るための研修や、技術を向上させるための訓練が対象となります。

事業の縮小にともなう配置転換のために必要な教育訓練も対象です。ただし、従業員の転職や再就職を助けることが目的の場合は、対象となりません。

教育訓練を行った場合は、教育訓練費が1人1日あたり1,200円加算されます。半日の場合は、日数を0.5日として計算します。

出向

出向とは自社の従業員という立場を維持したまま、ほかの雇用主の事業所で業務を行うケースです。将来的に出向元の企業に戻る約束で、いったん退職する場合も含みます。

出向元の事業主の負担額のうち、一部が助成されます。助成率は、中小企業で3分の2、大企業の場合は2分の1です。

受給できるのは、出向期間が3か月以上1年以内の場合に限られます。上記で紹介した3種類の雇用調整助成金は、すべて労使間の協定によるものでなければ支給されません。

厚生労働省の雇用調整助成金オンライン受付システムで、電子申請が可能です。

2.雇入れ関係の助成金

さまざまな理由によって、就職が困難な者を雇入れる際に活用できる助成金のことを「雇入れ関係の助成金」と言い、次のような種類があります。

  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 産業雇用安定助成金

上記4種類のなかでも問い合わせが多いのは、特定求職者雇用開発助成金です。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金には、以下のようなコースがあります。

  • 特定就職困難者コース
  • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 就職氷河期世代安定雇用コース
  • 生活保護受給者等雇用開発コース
  • 成長分野等人材確保・育成コース

 

雇用保険の事業主が、ハローワークなどの紹介によって雇用保険の一般被保険者として、対象者を雇入れることが受給の条件です。

3.雇用環境の整備関係等の助成金

障害者、高齢者、求職者など、さまざまな労働者にとって働きやすい環境を整える助成金が「雇用環境の整備関係等の助成金」です。

問い合わせが多い「65歳超雇用推進助成金」と「キャリアアップ助成金」について解説します。

65歳超雇用推進助成金 

高齢者でも意欲と能力がある限り、年齢に関係なく働ける生涯現役社会を実現するための助成金です。

65歳以上への定年年齢引上げや、高齢者の雇用管理制度の整備を行う事業主に対して助成されます。高年齢の有期契約労働者を、無期雇用に転換する際に受給できるコースもあります。具体的には、次のようなコースがあります。

  • 65歳超継続雇用促進コース
  • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
  • 高年齢者無期雇用転換コース

各コースの支給額や受給手続きは、それぞれ流れが異なります。詳しい手続きについては、厚生労働省発行の令和5年度65歳超雇用推進助成金のご案内をご覧ください。

65歳以上が対象の上記助成金のほかに、60~64歳までの労働者が対象の高年齢労働者処遇改善促進助成金もあります。

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」とは、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者のキャリアアップ促進を目的として支給される助成金です。非正規雇用従業員の正社員化や、処遇改善を実施した事業主向けに助成されます。

キャリアアップ助成金にはいくつかのコースがありますが、問い合わせが多い正社員化コースについて解説しましょう。

正社員化コース

正社員化コースの助成金は、非正規雇用の労働者を正社員化した事業主に対して支給されます。正社員には「多様な正社員」を含み、勤務地限定社員、職務限定、短時間限定正社員などが対象となります。

有期雇用や無期雇用の労働者を正社員化した場合、1人当たりの助成額は次の通りです。

キャリアアップ助成金の一人当たりの支給額のまとめ

参照:キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)|厚生労働省

派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合や、母子家庭の母、父子家庭の父を正社員化した場合には、さらに助成額が加算されます。

4.仕事と家庭の両立支援関係等の助成金(両立支援助成金)

子供を抱く男性の写真

仕事と家庭を両立できる職場環境の整備を目的として設けられたのが「仕事と家庭の両立支援関係等の助成金(両立支援助成)」です。

男性の育児休業取得を推進させる、仕事と介護の両立を支援する、などの目的で支給されます。問い合わせが多い、育児関係のコースについて詳しく解説します。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

第1種と第2種の2種類があります。どちらも中小企業のみが支給の対象です。

第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)

男性従業員が、子の出生後8週間以内に開始する、連続5日以上の育児休業を取得した場合に支給されます。取得した休業日のなかに所定労働日が4日以上含まれることが、必須条件です。

支給される額は20万円ですが、育児休業取得者の代替要員を確保した場合はさらに20万円が加算されます。(代替要員が3人以上の場合は45万円)

第2種(男性労働者の育児休業取得率上昇)

上記第1種の助成を受けてから1事業年度以内に、男性従業員の育児休業取得率が30ポイント以上上昇した企業には、60万円が支給されます。

2事業年度以内に30ポイント以上上昇した場合は40万円、3事業年度以内に30ポイント以上上昇した場合は20万円が支給される仕組みです。

第2種の受給は、育児休業を取得した男性労働者が、第1種申請の対象となった労働者のほかに2人以上いることが条件となっています。

育児休業等支援コース

育休復帰支援プランを策定し、プランに基づいて従業員に育児休業を取得させ、職場復帰に取り組んだ中小企業に支給される助成金です。男女どちらの従業員が育児休業した場合でも、対象となります。

助成される額は、次の通りです。

  • 育休取得時 30万円
  • 職場復帰時 30万円

1企業当たり、無期雇用労働者1名、有期雇用労働者1名の計2名までが支給対象となります。

5.人材開発関係の助成金(人材開発支援助成金)

人材育成や訓練を実施した企業を対象に、費用の一部が助成される制度です。従業員が、専門知識や技能を身につけるために必要な助成金が支給されます。

以下の7コースがあります。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース

昨今、とくに注目が集まっている「事業展開等リスキリング支援コース」について詳しく解説します。

事業展開等リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げなどの事業展開にともない、新たな分野で必要になる知識や技能を習得するための訓練を実施した場合に助成されます。

企業内のDX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める際に、従業員に専門知識や技能を習得させた場合も助成の対象です。

経費として助成されるのは、実費相当額のうち75%です。(中小企業以外は60%)

賃金助成の額は、1人1時間当たり、960円となります。(中小企業以外は480円)

雇用関係助成金の受給要件

本記事で紹介している雇用関係助成金を受給できるのは、要件を満たしている事業主のみとなります。それぞれの助成金ごとに支給要件が定められているため、申請する際には確認が必要です。

助成金ごとに「対象となる事業主」の要件が定められているほか、共通要件も満たさなくてはなりません。共通要件の内容は、次の通りです。

 

  1. 1.雇用保険適用事業所の事業主である

  2. 2.支給のための審査に協力する

 (1)支給または不支給決定の審査に必要な書類を整備・保管している

 (2)管轄労働局から求められた際に、上記書類の提出に応じられる

 (3)管轄労働局の実地調査を受け入れられる

  1. 3.審査期間内に申請を行える

共通要件については、厚生労働省が発行しているパンフレットもご覧ください。

 

雇用関係助成金検索ツールで助成金を探す

雇用関係助成金検索ツールのまとめ

引用:雇用関係助成金検索ツール|厚生労働省

 

現在申請できる助成金を探すときに便利なのが、厚生労働省の雇用関係助成金検索ツールです。「取り組み内容から探す」と「対象者から探す」の条件区分があり、自社にマッチする助成金を簡単に探せます。

たとえば、対象者区分では「就職氷河期世代」「高年齢者」「建設労働者」などの項目があり、直感的に探せるため助成金検索に役立ちます。

労働条件等関係助成金について

前項までに解説した「雇用関係の助成金」は、ハローワークや、都道府県労働局の助成金センターまたは雇用環境・均等部(室)が申請窓口となっています。

今回ご紹介する「雇用・労働分野の助成金」には、もうひとつ「労働条件等関係助成金」というものがあります。労働条件等関係助成金は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が申請窓口となっています。

労働条件等関係助成金は、おもに労働条件の改善を目的とした助成金です。厚生労働省の労働条件等関係助成金のご案内で、各種助成金が紹介されています。

労働条件等関係助成金のなかから、業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金の2つを解説します。

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性を向上させるための設備投資を行った場合や、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合にかかった費用の一部を助成する制度です。

生産性向上にかかった投資の内容としては、機械設備、コンサルティング導入、人材育成、教育訓練などが含まれます。

助成上限額や助成率については細かい区分がありますので、厚生労働省の業務改善助成金サイトをご覧ください。

働き方改革推進支援助成金

働き方改革に取り組む、中小企業の事業主を対象とした助成金制度です。働きやすい環境を整備するために必要な費用の一部を、国が助成します。

企業の規模によって格差がある労働環境を是正し、働き方改革を推進することを目的として支給されています。

令和5年度現在は、次の5コースが申請可能です。

  • 適用猶予業種等対応コース
  • 労働時間短縮・年休促進支援コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • 労働時間適正管理推進コース
  • 団体推進コース

 

各コースの詳しい情報は、厚生労働省の労働時間等の設定の改善内の働き方改革推進支援助成金の案内をご覧ください。

助成金の申請依頼は社会保険労務士へ

今回ご紹介した雇用関係助成金には、電子申請が可能な助成金もあります。

電子申請できる助成金は以前よりも増えましたが、まだ未対応のものが多いです。電子申請未対応の助成金は、従来通り用紙を提出する申請方法となっています。

ご自分で助成金を申請するのが難しい場合は、社会保険労務士や代理人による申請も可能です。助成金の申請でお困りの際は、社会保険労務士法人アミック人事サポートにご相談ください。状況に応じて対応させていただきます。

まとめ

今回は、令和5年度の雇用・労働関係助成金について紹介しました。

昨今は電子申請の整備が少しずつ進んでいるため、以前に比べると申請へのハードルが低くなっています。しかし2023年4月現在、すべての助成金が電子申請に対応している訳ではありません。

雇用関係助成金の申請について少しでも難しいと感じた場合は、専門家に相談することをおすすめいたします。社会保険労務士法人アミック人事サポートでは、雇用・労働関係の助成金に詳しい専門家が相談に応じます。お気軽にご相談ください。

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